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原子炉事故の賠償について、法律を再確認してみた

福島原子力発電所の事故以降、人的・経済的被害が発生しています。
が、東京電力の首脳陣は、責任を回避するようなあいまいな発言を繰り返しています。

一時、「原子力事故に関する電力会社の賠償責任は限定されており、東電は金銭的ダメージを受けない」との憶測が流れました。
それを受け、東電株が買われた時期もあったようです。

一方、先日の会見で、枝野官房長官は東電の免責は無いと発言したようです。
東電に賠償免責の適用ない 福島第1の補償で官房長官 (東京新聞 web)
 枝野幸男官房長官は25日午後の記者会見で、巨大な自然災害などの場合に電力会社を免責する原子力損害賠償法(原賠法)の例外規定が福島第1原発の事故で東京電力に適用される可能性について「社会状況からありえない」と明言した。
 福島第1原発事故に関わる国による補償は、国と東電の契約の上限の1200億円にとどめ、上限を上回る賠償責任は東電が原則として負うことになる
 原賠法では「異常に巨大な天災地変または社会的動乱」の場合は、原子力災害に対する東電など原子力事業者の賠償責任を免除し、国が負担する免責条項を定めている。
 政府内には当初、今回の地震と津波は「未曽有の大災害だ」として免責を適用することも検討したが、各地で放射性物質の検出が相次ぎ、東電が賠償責任を免れるのは「国民感情からも受け入れられない」(財務省幹部)と判断した。
 東電が補償しきれない場合は、国が財政投融資で東電に融資する案や、金融機関から東電への融資に政府保証を付ける案が出ている。

実際のところ、どのようになっているか、法律をしらべてみました。



原賠法について

原発を含む、原子力関連の賠償は「原子力損害の賠償に関する法律」で規定されています。
原子力損害の賠償に関する法律 (昭和三十六年六月十七日法律第百四十七号)
(目的)
第一条  この法律は、原子炉の運転等により原子力損害が生じた場合における損害賠償に関する基本的制度を定め、もつて被害者の保護を図り、及び原子力事業の健全な発達に資することを目的とする。


2章以降に賠償責任に関する規定があります。
第二章 原子力損害賠償責任
(無過失責任、責任の集中等)
第三条  原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。

3条に免責の条項があります。

>その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。
今回の地震、そしてその後の津波は、確かに「異常に巨大な天災」に該当するのは間違いありません。

が、爆発・炉心溶融が起きた本当の原因は、津波が起きた後の対応のまずさに起因しています
これは天災ではなく、「人災」に該当するという意見があります。

特に、津波により、炉心冷却の手段が喪失したのも関わらず、廃炉になることを避けるため、海水注入を躊躇し、被害を拡大させてしまったことに非難が集まっています。

非難に輪をかけているのが、東電の態度です。
責任回避の発言を繰り返すとともに、事故対応からも手をひくという無責任ぶり。
事故直後にも、東電撤退の打診をしていたそうですが、21日からは、自衛隊が事故対応に当たっているそうです。

現地調整所 自衛隊が指揮 (NHK)
北澤防衛大臣は、防衛省の災害対策本部の会合で、福島第一原子力発電所の事故対応を協議するため設けられた、各関係機関の「現地調整所」について、菅総理大臣の指示の下、21日から自衛隊が活動全般の指揮に当たる考えを示しました
福島第一原子力発電所の事故対応について、自衛隊や消防、東京電力などが、放水作業をはじめとした具体的な作業方針を協議する「現地調整所」が、福島第一原発から20キロほど離れた福島県楢葉町の運動施設に設けられています。これに関連して、北澤防衛大臣は、防衛省の災害対策本部の会合で、「菅総理大臣から、福島第一原発への放水や観測作業の実施要領について、自衛隊が中心に調整するよう、警察庁長官、総務省消防庁長官、防衛大臣、福島県知事、東京電力社長に指示があった」と述べ、21日から自衛隊が活動全般の指揮に当たる考えを示しました。


事実かどうかわかりませんが、現場で対応に当たっている人間に「東電の正社員は一人もいない」という憶測があります。
少なくともマスコミに登場するのは、消防署、自衛隊などの公務員か、下請け・孫請け社員ばかり。
先日のβ線被爆も協力会社社員でした。
被ばく3人は下請け&孫請け 依頼断れず記事を印刷する (nikkansports.com)
福島第1原発3号機で高線量の放射線に被ばくした作業員3人のうち2人が、内部被ばくをしていることが分かった。25日夜、3人を検査した放射線医学総合研究所(千葉市)が公表した。初期症状は出ていないが、今後、熱傷の症状が出る恐れがあるという。
 関電工本社(東京都港区)に社員被ばくの連絡が入ったのは24日昼すぎだった。作業員3人の被ばく線量は緊急時の上限を上回る173~180ミリシーベルト。本社では一夜明けた25日朝から作業内容や社員の容体について確認に追われ、担当者は「こんな量の被ばくをしたことはない」と戸惑いの表情を見せた。

 関電工によると、福島第1原発にいる同社社員からあわてた様子で電話連絡があったのは24日午後0時20分ごろ。入院した2人は東電の下請け会社である関電工の原子力部社員で、1人は20代後半で入社3年、もう1人は30代前半で入社11年。残る1人は東電の孫請け会社の社員で30代前半。


話がわき道にそれてしまいましたが、
このように無責任な態度を示している状況で、東電の免責を認めようという論調はありません。



賠償費用の負担について

以降、東京電力に責任があるものとし、賠償費用に関する条項を確認します。

「原子力損害の賠償に関する法律」の3章に賠償に関する規定があります。
  第三章 損害賠償措置 第一節 損害賠償措置
(損害賠償措置を講ずべき義務)
第六条  原子力事業者は、原子力損害を賠償するための措置(以下「損害賠償措置」という。)を講じていなければ、原子炉の運転等をしてはならない。

(損害賠償措置の内容)
第七条  損害賠償措置は、次条の規定の適用がある場合を除き、原子力損害賠償責任保険契約及び原子力損害賠償補償契約の締結若しくは供託であつて、その措置により、一工場若しくは一事業所当たり若しくは一原子力船当たり千二百億円(政令で定める原子炉の運転等については、千二百億円以内で政令で定める金額とする。以下「賠償措置額」という。)を原子力損害の賠償に充てることができるものとして文部科学大臣の承認を受けたもの又はこれらに相当する措置であつて文部科学大臣の承認を受けたものとする。


とてもわかりにくい条文ですが、6条と7条を整理すると、
原子力事業者は、「原子力損害賠償責任保険契約及び原子力損害賠償補償契約」(1200億円)の締結が必要ということになります。

つまり、
・一般的な事故については、民間保険による原子力損害賠償責任保険契約。
・民間保険でカバーできない事故(正常時の損害や天災など)は原子力損害賠償補償契約
で、保証することになります。

今回は、天災なので、「原子力損害賠償補償契約」を確認してみると・・・

(原子力損害賠償補償契約)
第十条  原子力損害賠償補償契約(以下「補償契約」という。)は、原子力事業者の原子力損害の賠償の責任が発生した場合において、責任保険契約その他の原子力損害を賠償するための措置によつてはうめることができない原子力損害を原子力事業者が賠償することにより生ずる損失を政府が補償することを約し、原子力事業者が補償料を納付することを約する契約とする。


>損失を政府が補償することを約し
とありますが、政府は無限に保証するわけではなく、損害賠償措置に相当する金額(=1200億円)と定められています。

さて、今回の事故。賠償額は最低でも数兆円ともいわれています。
先の損害賠償措置ではとてもまかないきれません。

その場合の国の対応が16条に規定されています。


(国の措置)
第十六条  政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者(外国原子力船に係る原子力事業者を除く。)が第三条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。
2  前項の援助は、国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内において行なうものとする。


国会の議決に基づき、政府は、賠償に関する必要な「援助」を行うことが規定されています。
あくまで、「援助」であり、肩代わりではありません。

もっとも、年商5兆円といわれる東京電力のことですから、政府の援助など必要としないかもしれませんが。


まとめ

長くなりましたので、最後にまとめると、
・原賠法3条には、免責条項があるが、東電には適用されそうもない
・原賠法10条に基づく、国による補償は1200億円で、それ以上は東電が支払う
・国は援助するが、肩代わりはしない


です。
ま、東電が支払った賠償金は、いずれ電力料金として利用者が負担することになるわけですが。

東電管内から脱出したいなぁとおもうfocuslightsでした。






原子力・放射線安全確保 (文部科学省)
Q5. 原子力事業者が賠償措置額である1200億円を支払い終わったら、それ以上は賠償はなされないのですか?

A5. 原賠法では、万一原子力損害が発生した場合、原子力事業者は生じた原子力損害の全額を賠償する義務を負っています(無限責任主義)。
従って、1200億円を支払えばそれ以上は賠償請求に応じなくてもよいのではなくて、この1200億円は、万一原子力損害が発生した場合、被害者に対して迅速かつ確実に賠償の支払いを行うための保険に過ぎません。1200億円を超える損害額については、自らの財力をもって支払う義務が残ります。
なお、事業者の財力等から見て必要があれば、国が必要な援助を行うことが可能となっており、被害者の保護に遺漏がないよう措置されています(問6参照)。


Q6. 事業者が賠償請求額を賠償措置(保険又は政府補償)及び自らの資力では支払い切れなかった場合は、どうなるのですか?

A6. 原子力事業者は生じた原子力損害の全額を賠償する義務を負うので、支払いを免除されることはありません。しかし万一原子力損害の額が賠償措置額を超えてしまい、原子力事業者が自らの財力では全額を賠償できない等の事態が生じた場合は、国会の議決により政府に属せられた権限の範囲内で、国が原子力事業者に対して、最も適切な形態で支払いに関する援助を行うこととなります。
援助の方法としては、例えば、(1)補助金の交付、(2)低利融資、(3)利子補給、(4)融資のあっせん等、具体的事情に応じて最も適切な形態で行われ、これらによって被害者の救済に遺漏なきよう手当されることになります。


コメント

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nhqhruj@gmail.com

今日は よろしくお願いしますね^^すごいですね^^

Re: タイトルなし

法律の専門家ではないので、感覚的で無責任な意見になりますが・・・

保障義務は、原賠法の損害賠償措置(保険契約/保障契約)がその役割を果たしていると考えられますので、
同法に従う限り、請求するのは困難だと思います。

が、福島原発事故で原賠法の限界が見えてしまったので、今なら認められる可能性もあるとおもいます。

教えてください。
今回の政府・東電の対応を見ても、原発周辺の一部地域/農産物を除いて、補償は期待できそうにありません。
将来の他地域での原発事故に備え、各電力会社の放射能漏出事故による被曝に対する補償義務(今回のように20mSv/年ではなく、平時の基準値である1mSv/年をこす汚染が確実視される場合に、まったく汚染されていない地域への移転費用/生活補償など)の確認を、予備的に裁判手続きで求めることは可能でしょうか?
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