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東大のアンモニア合成新手法のニュースは煽り過ぎだろ。と思った。

47Newsにアンモニアの新合成法のニュースがありました。
アンモニア合成、東大が新手法 次世代エネルギーへ期待 (47News)
 アンモニアを合成する際に大幅なコストダウンが期待できる新手法を、西林仁昭・東京大准教授(触媒反応工学)らのチームが開発し、5日付の英科学誌ネイチャー・ケミストリー電子版に発表した。
 アンモニアは燃焼させればエネルギーを取り出せる上、排出するのは二酸化炭素ではなく窒素と水だけで、環境にも優しい。西林准教授は「今回の発見は、化石燃料に代わる次世代エネルギー源への重要なステップ」としている。
 現在の生産方法は高温高圧の状態をつくるため化石燃料が必要だった。チームは、反応を促す触媒としてモリブデンを含む化合物を新たに開発。有機溶媒にこの触媒と、水素供給のための物質などを混ぜ、窒素を満たした試験管に入れると、20時間ほどで効率良くアンモニアができた。この方法なら常温常圧でも化学反応が進むとしている。

ほうほう。新合成手法。それも常温常圧。
そりゃすごいね。と思いNatureを確認してみました。

A molybdenum complex bearing PNP-type pincer ligands leads to the catalytic reduction of dinitrogen into ammonia
Nature Chemistry (2010) doi:10.1038/nchem.906

Natureアンモニア合成新手法
うーん。
反応式の通り、確かにモリブデン触媒(cat.2a)は触媒量で済むようですが、
1分子のアンモニアを合成するのに、6倍量のCobaltoceneと8倍量のLutHOTfが必要なようです。

アンモニア:0.8ドル/1kg (イリノイ州2011年6月)1kgあたり12円
コバルトセン: 1gあたり9800円 (東京化製工業)
ルチジントリフラート:価格不明ですが、けっこう高価

なので、コスト的に到底見合いません。

「常温常圧で気体窒素の固定に成功」という興味深い研究ですが、
「大幅なコストダウンが期待できる」という扱いは誤報ではないかと思います。

ここまでは前フリ。
一番気になったのが、
>アンモニアは燃焼させればエネルギーを取り出せる上、排出するのは二酸化炭素ではなく窒素と水だけで、環境にも優しい。
の一文

「燃焼させればエネルギーを取り出せる」というのは正しいですが、通常アンモニアは燃焼しません。
アンモニア (wikipedia)
空気中での引火性は知られていない。発火点は651℃で空気中のアンモニア含有量が16–25%で爆発性ガスができる。液体アンモニアはハロゲン、強酸と接触すると激しく反応して爆発飛散することがある。酸素中では燃焼し窒素酸化物を発生する[5]。

さらに無理に燃焼させたときの反応式は、
4 NH3 + 5 O2 → 4 NO + 6 H2O

で、窒素酸化物が発生するはずです。
環境にやさしい?笑っちゃいますね。

このニュースを書いた記者はド素人?だとfocuslightsは思います。

認識間違いがあれば訂正しますので、コメントでご指摘ください。


20121127追記
当初アンモニア価格を12円/1kgと記載していましたが、誤りとのご指摘を頂きましたので訂正しました。
(12円は昭和電工の値上げ幅であって、価格ではありませんでした。ご指摘ありがとうございました。)

インターネットを検索しても、価格情報が見つからなかったのですが・・・
こちらのサイトに、2011年6月のイリノイ州価格として $801/tonとの記載がありましたので、訂正しました。
とは言え、液化アンモニアなんて提供形態によって価格が変わることが想像されますので・・・
引き続き調査して、修正するかもしれません。

コメント

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No title

ついでを言うと、NOxは奪硝装置通すから問題なしやね。
ディーゼルエンジン自動車には脱NOx機がついていて、アドブルーとか高純度尿素水噴霧している。もちろん尿素はアンモニアとCO2から作る

No title

化学工業品の価格は化学工業日報に週1くらいでのってまっせ

Re: これ2010の……?

> ネイチャーからの引用が2010年って読めるんですけどそれ今回の件の原型ではー?
> リンク飛ぶと2011年3月号掲載…… って読めばいいのかしら。

このエントリーは、2010年末の記事です。
リンクは当時のNature Chemistryのonline publicationで、2011年になって掲載されたようですね。
(doiは同じです)

今回の論文は、鉄錯体での窒素固定ということで、興味深い論文ですが・・・
アンモニアに対し、3等量の金属ナトリウムとMe3SiClが必要ということで、かなり高コストと思います。

>入手が容易で安価な鉄を利用した反応であり、大幅なコストダウンが可能となる。
は、例によって誤りですね。

http://www.nature.com/ncomms/journal/v3/n12/full/ncomms2264.html

これ2010の……?

ネイチャーからの引用が2010年って読めるんですけどそれ今回の件の原型ではー?
リンク飛ぶと2011年3月号掲載…… って読めばいいのかしら。


ttp://news.mynavi.jp/news/2012/12/06/052/index.html
マイナビニュース
<抜粋>
大量の化石燃料を必要とするハーバー・ボッシュ法に代わる次世代型窒素固定法として、こうした合成法はこれまでも研究グループなどにより常温常圧の窒素ガスからのアンモニアおよびアンモニア等価体の合成として達成されていたが、いずれの反応系でも希少金属(レアメタル)であるモリブデンを触媒として利用する必要があった。今回の研究では、入手が容易で安価な鉄を利用した反応であり、大幅なコストダウンが可能となる。
<抜粋ここまで>

鉄系なら安価で済むってのが今回の件らしいです

No title

純アンモニアは空気中で燃焼しませんが、炭化水素、水素などを添加しますと、空気中でも燃焼します。
また、空気中で燃焼させますと、NOXは数百ppm程度しか発生しないと思います。
一度専門家に頼んで平衡計算でもされたらいいと思います。

Re: No title

> 仕事でアンモニア価格を確かめるためにここにたどり着きましたが、
> 12円/kgはアンモニアの値上げ幅ですよ・・・
> もっと高いと思います

ご指摘の通りですね。調査して訂正します。

ありがとうございました。

No title

仕事でアンモニア価格を確かめるためにここにたどり着きましたが、
12円/kgはアンモニアの値上げ幅ですよ・・・

もっと高いと思います

Re: 水素供給源(貯蔵剤としての


燃料電池用の水素供給源ですかね。でもそれって、燃焼とは言わないと思います。

水素供給源(貯蔵剤としての

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